はじめに
電子工作を始める際、最初に試すべきプロジェクトはLEDの点灯です。たった一つのLEDを光らせるだけですが、そこには電圧・電流・抵抗という電子回路の3大要素がすべて含まれています。
この記事では、オームの法則を使って適切な抵抗値を計算し、安全にLEDを点灯させる方法を初心者向けに解説します。
なぜ電子工作はLEDから始めるのか?
電子工作の基本がすべて詰まっている
LEDを点灯させる回路は、電子工作における最小の完結した回路です。この回路を理解することで、以下の重要な概念を学べます:
| 学べる要素 | 内容 |
|---|---|
| 電圧 | 電源とLEDの順方向電圧(Vf)の関係 |
| 電流 | LEDに流れる電流の制御 |
| 抵抗 | 電流を制限するための抵抗値計算 |
| オームの法則 | V = I × R の実践的な理解 |
成功体験が次のステップを加速する
「LEDが光った!」という視覚的なフィードバックは、学習意欲を大きく高めます。デバッグでも、プロのエンジニアが真っ先に使うのがLEDによる動作確認です。
必要な部品と準備
今回のプロジェクトで使用する部品は以下の通りです:
| 部品 | 役割 | 仕様 |
|---|---|---|
| LED | 発光ダイオード | 順方向電圧 Vf ≈ 2.1 V、最大電流 30 mA |
| 抵抗 | 電流制限 | 330 Ω(E24系列、1/4 W) |
| 電源 | 電力供給 | 9 V乾電池またはACアダプタ(DC 5〜12 V) |
| ブレッドボード | 配線基板 | はんだ付け不要で試作可能 |
| ジャンパ線 | 配線材料 | ブレッドボード用 |
LEDの極性について
LEDには向きがあります。**長い足がアノード(+)、短い足がカソード(−)**です。逆向きに接続すると点灯しないので注意しましょう。
LED点灯に必要なもの
回路設計と抵抗値の計算
基本回路図
LEDを光らせる最小回路図
オームの法則を使った抵抗値の計算
LEDを安全に点灯させるには、適切な電流制限抵抗が必要です。オームの法則(V = I × R)を使って計算していきます。
計算手順
- 電源電圧: 9 V(乾電池)
- LED順方向電圧: Vf = 2.1 V(20 mA時)
- 抵抗両端の電圧: Vr = 9 V - 2.1 V = 6.9 V
- 目標電流: I = 20 mA = 0.02 A
理論抵抗値の算出
R = Vr / I = 6.9 V / 0.02 A = 345 Ω
LEDに20 mAを流すための理論抵抗値は345 Ωです。
実用的な抵抗値の選定
一般的なE24系列の抵抗には345 Ωは存在しません。最も近い規格値は330 Ωです。
実際に330 Ωを使用した場合の電流を計算すると:
I = Vr / R = 6.9 V / 330 Ω = 0.021 A = 21 mA
21 mAはLEDの最大定格(30 mA)を下回っているため、安全に点灯できます。
LED回路に流れる実際の電流
ブレッドボードでの実装
計算が終わったら、実際に回路を組み立てていきます。
配線手順
- 抵抗の配置: ブレッドボードの適当な列に330 Ω抵抗を差し込みます
- LEDの配置: LEDのアノード(長い足)を抵抗の隣の穴に、カソード(短い足)をGNDレールに差し込みます
ブレッドボード上での配置
- 電源の接続: 電源のプラスを抵抗側に、マイナスをGNDレールに接続します
- 動作確認: 電源をONにして、LEDが点灯すれば成功です!
点灯したLED
トラブルシューティング
LEDが点灯しない場合は、以下の項目をチェックしてください:
- LEDの向き: アノードとカソードが逆になっていないか確認
- 電源電圧: 電池が消耗していないか、テスターで確認
- 抵抗値: 色コード(オレンジ・オレンジ・茶)が正しいか確認
- 接触不良: ブレッドボードの接続がしっかりしているか確認
次のステップへ
応用例
LED点灯回路をマスターしたら、以下のような応用に挑戦してみましょう:
1. 色違いのLEDを試す
LEDの色によって順方向電圧(Vf)が異なります:
- 赤色LED: Vf ≈ 1.8 V
- 緑色LED: Vf ≈ 2.1 V
- 青色LED: Vf ≈ 3.2 V
色を変える場合は、抵抗値を再計算する必要があります。
2. Arduinoで明るさを制御
ArduinoのanalogWrite()関数を使えば、PWM制御でLEDの明るさを自由に変えられます。
3. センサーと連動させる
光センサーを使って、暗くなったら自動的にLEDが点灯する回路を作ることもできます。
まとめ
たった1個のLEDを光らせるだけですが、そこには電子工作の基本がすべて詰まっています。オームの法則を使った抵抗値の計算、回路設計、実装と動作確認まで、一連の流れを体験できました。
「LEDが光った!」という達成感は、次のステップへの大きなモチベーションになります。ここで学んだ知識を基礎として、より複雑な電子工作に挑戦していきましょう。