🔧 使い方
R1(上側・Vin 側)と R2(下側・出力側)に抵抗値を入れると、R1 と R2 の接続点に出てくる電圧が 出力電圧 Vout です。単位は Ω / kΩ / MΩ から選べます。
結果は2段構えになっています。上4つが入力した抵抗値そのものの計算結果、下4つが 実際に買える抵抗で組み直すとどうなるか の提案です。
「5V を 3.3V に落としたい」のように比が先に決まっている場合は、まず理想の比になる適当な値(たとえば R1 = 10kΩ、R2 = 19.4kΩ)を入れてみてください。下段に E12 / E24 系列で組める実際のペアと、そのときの Vout・理想比からのずれが出ます。
🔎 計算しているのはこの回路です
抵抗2本を縦に積んで、その真ん中から電圧を取り出すだけの回路です。
Vin
|
+-+
| | R1 (上側・Vin に近いほう)
+-+
|
+---------> Vout (ここから取り出す)
|
+-+
| | R2 (下側・GND に近いほう)
+-+
|
GND
上下がひっくり返っていると答えが逆になるので、R1 と R2 のどちらが上かだけは間違えないでください。Vout を大きくしたければ、下側の R2 を大きくします(あるいは上側の R1 を小さくします)。
| 図の位置 | ツールの欄 | ひとこと |
|---|---|---|
| いちばん上 | 入力電圧 Vin | 分けたい元の電圧 |
| 上側の抵抗 | R1 | Vin と Vout の間 |
| 下側の抵抗 | R2 | Vout と GND の間 |
| 真ん中の取り出し口 | 結果に出る Vout | R2 にかかっている電圧そのもの |
ポイントは、Vout は「R2 にかかっている電圧」でしかないということです。分圧という名前のせいで何か特別な仕掛けがあるように見えますが、やっているのは直列抵抗に電圧をかけて、その途中の1点を覗いているだけです。
📐 なぜ Vout が比で決まるのか
分圧回路は「同じ電流が R1 と R2 を直列に流れているだけ」の回路です。直列なので、流れる電流はどこでも同じ値 I = Vin ÷ (R1 + R2)。その同じ電流が R2 を通るときに生じる電圧降下 I × R2 が、そのまま Vout になります。
V_{out} = V_{in} \times \frac{R_2}{R_1 + R_2}式に Vin と「R2 が全体に占める割合」しか出てこないのがポイントです。つまり 抵抗の絶対値ではなく比だけで出力電圧が決まります。10kΩ と 10kΩ でも 1MΩ と 1MΩ でも Vout は同じ半分です。違うのは流れる電流(=消費電力とノイズ耐性)だけ、というのが分圧回路のいちばん大事な性質です。
🧮 E系列の実抵抗ペア提案について
計算で出た理想の抵抗値は、たいてい売っていません。市販の抵抗は E12 系列(1.0 / 1.2 / 1.5 / 1.8 / 2.2 / 2.7 / 3.3 / 3.9 / 4.7 / 5.6 / 6.8 / 8.2 の12段階×10の冪)や、その倍の細かさを持つ E24 系列で作られているからです。
このツールは、入力した R1・R2 の 比を保ったまま、R1 と同じ桁の E 系列の値に置き換えたときいちばん誤差が小さくなる組み合わせを総当たりで探します。
たとえば 5V から 3.3V を作りたいとき(理想比 0.66)、E12 系列だと 12kΩ と 22kΩ で −1.94% ずれますが、E24 系列まで許すと 47kΩ と 91kΩ で −0.07% まで詰められます。E12 の在庫で妥協するか E24 を買い足すかを、数字を見て決められます。
表示している誤差は「E系列の値に丸めたことによる比のずれ」だけです。抵抗そのものの製造誤差(E12 なら ±10%、E24 なら ±5% が目安)は含んでいません。本当に精度が必要な場合は、誤差 ±1% の金属皮膜抵抗(E96 系列)を使うか、可変抵抗で追い込むことになります。
また、同じ桁の中から誤差最小のペアを選ぶため、合計抵抗(=消費電流)が入力した値と数倍変わることがあります。消費電流を動かしたくない場合は、提案された比を保ったまま自分で桁を選び直してください。
⚠️ 出力に負荷をつなぐと Vout は下がる
分圧の出力に何かをつなぐと、その負荷抵抗が R2 と 並列 に入ります。合成抵抗が下がるぶん Vout も下がるので、負荷抵抗が R2 と同程度だと計算値とまるで違う電圧になります。
目安として、後段の入力インピーダンスが R2 の10倍以上あれば、誤差はおおむね10%以内に収まります。マイコンの ADC 入力は入力インピーダンスが高いので分圧と相性が良い一方、サンプリングの瞬間だけコンデンサへ電荷が流れるため、R1・R2 を大きくしすぎる(数百kΩ以上)と読み値が安定しなくなります。
🚫 分圧を使ってはいけない2つの場面
上の「負荷で崩れる」の話は、実際には次の2つの形で牙をむきます。どちらも定番の失敗なので、先に知っておくと1日得します。
① 電源の降圧に使う
「5V しかないから、分圧で 3.3V を作ってセンサに供給しよう」——これは動きません。センサが電流を食った瞬間に Vout が落ちるからです。
分圧が成立するのは、取り出し口からほとんど電流が流れ出さないとき(=電圧を「見る」だけのとき)に限られます。負荷が 10mA 食うなら、その 10mA は R1 を通って来るしかなく、R1 での電圧降下がそのぶん増えて Vout は沈みます。しかも負荷の消費電流が変動すれば Vout も一緒に揺れるので、電源としては使い物になりません。
電源を降圧したいときは三端子レギュレータや DC-DC コンバータを使ってください。 分圧の出番は「信号を測る」ときだけです。
② 速い信号のレベル変換に使う
5V のマイコンから 3.3V のデバイスへ信号を渡すとき、分圧でレベルを落とす手はよく使われます。これは遅い信号なら成立しますが、速い信号では波形が鈍って通りません。
理由は、分圧の抵抗と、配線や次段の入力容量が そのまま RC ローパスフィルタを作ってしまうからです。R1・R2 を大きくするほど(消費電流を減らすほど)フィルタのカットオフは下がり、方形波の角が丸まります。
たとえば R1 = R2 = 10kΩ(信号から見た抵抗は並列で 5kΩ)に対して、配線と次段の入力容量が合わせて 20pF あるとします。このとき時定数は 5kΩ × 20pF = 0.1µs、10% から 90% まで立ち上がるのに約 0.22µs かかる計算です。1MHz の方形波なら High の区間が 0.5µs しかないので、立ち上がりきる前に次の変化が来ます。
- UART の 9600bps 程度 — 1ビットが 100µs もあるので問題ありません
- SPI の数 MHz や I2C — 素直にレベル変換 IC を使ってください(I2C はオープンドレインで両側がプルアップされているため、そもそも抵抗分圧では組めません)
どのくらい鈍るかは RCフィルタ 計算ツール で確かめられます。R には R1 と R2 の並列値を、C には推定した負荷容量を入れてみてください。
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分圧して ADC で読む実例は ArduinoのAD変換 と 加速度センサで作るデジタル水平器 で扱っています。LED の電流を決めたいときは LED 電流制限抵抗 計算ツール をどうぞ。