はじめに:宇宙から電気が届く日が現実になりつつある
JAXAと一般財団法人・宇宙システム開発利用推進機構(JSS)などは2026年度にも、宇宙で作った電気を地上に送り、受信した側で電気を取り出す世界初の実証実験を行う。
計画の名前は「OHISAMAプロジェクト」。正式名称は On-orbit experiment of HIgh-precision beam control using small SAtellite for MicrowAve power transmission(軌道上の小型衛星を使ったマイクロ波送電のための高精度ビーム制御実証実験)だ。
太陽光パネルを搭載した150kgの小型衛星を高度約450キロメートルの軌道に打ち上げ、発電した電気をマイクロ波に変換して国内の狙った場所へ送る。「宇宙太陽光発電(SSPS:Space Solar Power System)」のアイデア自体は1968年にアメリカで提唱されたものだ。半世紀以上が経ってようやく「宇宙から地上が電気を受け取る」というサイクルを世界で初めて実証しようとしている。
- JAXAなどが2026年度に高度450kmの小型衛星(150kg・1kW出力)からマイクロ波で地上送電する「OHISAMAプロジェクト」を実施予定。フェーズドアレイアンテナによる高精度ビーム制御と、金沢工業大学が開発したGaAsレクテナで「世界初の地上電気取り出し」を目指す
- カリフォルニア工科大学は2023年に衛星から地上へのマイクロ波送信と宇宙内LEDの点灯に成功したが、地上レクテナによる実用的な電力取り出しは未達。OHISAMAはその先を行く実証だ
- 国際競争は激化。米AFRL(2025年軌道実験)・ESA(2025年判断)・中国(2027年LEO実証、2050年複数GW構想)・英国(CASSIOPEIA)が続く。打ち上げ予定のカイロスロケットが3連続失敗している点は要注目
1. 🌞 宇宙太陽光発電(SSPS)とは何か
地上太陽光発電との根本的な違い
地上に設置した太陽光パネルには三つの制約がある。夜は発電できない、雨や曇りで出力が落ちる、大気層と雲で太陽エネルギーが減衰する。
宇宙に出ればこれらがすべて消える。
| 比較項目 | 地上太陽光発電 | 宇宙太陽光発電(SSPS) |
|---|---|---|
| 昼夜の影響 | あり(夜は発電不可) | ほぼなし(日食の時間のみ) |
| 天候の影響 | 大きい | なし |
| 太陽光強度 | 大気・雲で減衰 | 地上の約1.4〜5倍 |
| エネルギー密度 | 低い | 高い |
| 発電の安定性 | 不安定 | 高安定 |
静止軌道(高度約3万6000km)から見た太陽は24時間365日ほぼ休みなく輝いている。1年のうち日食に当たる時間は1%未満で、99%以上を発電に充てられる計算だ。発電効率は条件によって地上の約5倍に達するとされる。
1968年からの半世紀
SSPSのアイデアは1968年に米国の研究者Peter Glaser博士が提唱した。日本では1970年代から京都大学を中心に研究が始まり、アメリカとともに世界の研究を牽引してきた。
しかしその実現は長らく「夢の技術」にとどまっていた。宇宙で巨大な発電所を建設するには大型ロケットを年間100回以上打ち上げる必要があり、2000年代まで現実的でなかった。
転機は2010年代以降のSpaceXなどの商業宇宙開発だ。打ち上げコストが劇的に下がり、技術的な現実味が一気に高まった。
2. 🛰️ OHISAMAプロジェクトの全容
実証の目的と「世界初」の意味
OHISAMAプロジェクトの最大の目標は「受信したマイクロ波から電気を取り出すこと」だ。
ここで重要な整理をしておきたい。2023年5月22日、米カリフォルニア工科大学のMAPLE実験が「衛星から地上の屋上にマイクロ波を送信し、検出可能なレベルの電力を受信する」ことに成功した。また同実験では宇宙空間上でレクテナを使ったLEDの点灯も実現している。しかしこれはあくまで衛星内部での実証であり、地上側のレクテナで実用的な電力として取り出すことには至っていない。
OHISAMAはこの「最後の一歩」を踏む実証だ。送ることではなく、地上の受信機で電気として使える状態にすることが世界初になる。
衛星のスペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 衛星質量 | 約150kg(小型衛星) |
| 軌道高度 | 約450km(低軌道) |
| 太陽光パネル展開幅 | 約2メートル |
| 最大発電能力 | 約720W〜1kW |
| 送電方式 | マイクロ波(フェーズドアレイアンテナ) |
| 打ち上げ予定 | 2025年度(実証実験は2026年度) |
注目すべきは「フェーズドアレイアンテナ」の採用だ。多数の送信素子の位相を電子的に制御することで、機械的に向きを変えることなく、送電ビームを高精度で地上の指定座標に向け続けられる。OHISAMAの正式名称に「high-precision beam control(高精度ビーム制御)」が入っているのはこのためだ。
フェーズドアレイアンテナは、多数の小型アンテナ素子を配列し、各素子への信号の位相(タイミングのズレ)を電子的に制御することで、送受信ビームの向きを瞬時に変えるアンテナだ。
気象レーダーや軍用レーダー、5G基地局などに使われている。機械的な可動部が不要なため高速・高信頼で、宇宙環境では可動部の故障リスクが致命的になるため特に重要。宇宙から地上の特定の点にマイクロ波ビームを向け続けるOHISAMAでは、この技術が精度の根幹を担う。
受信側の設計:金沢工業大学のGaAsレクテナ
地上でマイクロ波を受けて電気に変換する「レクテナ(Rectenna)」の開発は金沢工業大学の伊藤健二教授の研究室が担当する。世界最高水準の電力変換効率を持つとされるGaAs(ガリウムヒ素)整流ICを、薄膜アンテナと組み合わせて膜状トラス構造の上に実装した設計で、2025年1月に評価試験が実施された。
宇宙(高度約450km)
┌───────────────────────────┐
│ 小型衛星(約150kg) │
│ ・太陽光パネル(幅約2m) │
│ ・最大720W〜1kW発電 │
│ ・フェーズドアレイアンテナ │
│ → マイクロ波に変換・放射 │
└─────────────┬─────────────┘
│ マイクロ波(送電)
│ 高度450kmで広がりながら到達
▼
【埼玉県中心 半径約40km】
多数のレクテナを配置(数カ月・複数回実施)
│
▼
JAXAの臼田宇宙空間観測所(長野県佐久市)
大型アンテナでLEDを点灯(検討中)
送電ビームは地上到達時に20〜40キロメートルの範囲に広がる見込みのため、埼玉県を中心とした40km程度の範囲に多数の受信機を配置し、電気を受け取れるかを検証する。
レクテナ(Rectenna) は「Rectifying Antenna(整流アンテナ)」の略で、マイクロ波(電磁波)を受信してそのまま直流電力に変換するアンテナのこと。
通常のアンテナが受信した電波を信号として使うのに対し、レクテナはそのエネルギーをダイオードで整流(交流→直流変換)して「電力」として取り出す。変換効率(受信したマイクロ波エネルギーのうち電気として取り出せる割合)は材料と設計に大きく依存し、金沢工業大学が開発するGaAs(ガリウムヒ素)ベースのものは世界最高水準とされる。
3. 📡 なぜマイクロ波で送電するのか
エネルギーを宇宙から地上に届ける方法
宇宙から地球へエネルギーを送る方法は主に二つある。マイクロ波とレーザー(光) だ。
| 方式 | 利点 | 欠点 |
|---|---|---|
| マイクロ波 | 大気・雲・雨を透過する。変換効率が高い | 広く拡散するため受信エリアが広大になる |
| レーザー | 指向性が高く絞り込める | 雲・大気で減衰する。高出力レーザーの安全性 |
JAXAが採用するマイクロ波方式は「天候に左右されずエネルギーを届けられる」という最大のメリットを生かした選択だ。ただし欠点も明確で、今回の実証実験でも送電ビームが20〜40キロメートルの広範囲に拡散するため、受信機を広い面積に敷き詰める必要がある。
SSPSで検討されている周波数は主に5.8GHz帯だ。これはWi-Fiや電子レンジにも使われるISMバンド(産業・科学・医療用の免許不要帯)だが、宇宙からの高出力送電となると既存の無線通信との干渉が深刻な技術的・法的課題となる。周波数の国際的な確保と管理ルールの整備がSSPS実用化の重要な前提条件だ。
2050年頃に構想する静止軌道(約3万6000km)の大型衛星では、距離がさらに遠くなるため制御技術の高精度化が不可欠だ。フェーズドアレイによるビーム制御の精度がそのまま「どこに届けられるか」を決める。
4. ⚡ 電離層への影響と安全性
OHISAMAが調査する課題の一つが、マイクロ波が電離層に与える影響だ。
電離層(高度60〜1000km)には電子とイオンからなるプラズマが存在している。衛星からの大出力マイクロ波がこのプラズマを乱すと、GPSや無線通信に使う電波の伝搬に影響が出る恐れがある。
今回の実証実験では衛星の最大発電能力が720W〜1kW程度と小さく、電離層に実際の影響を与えるレベルではない。しかし2050年を見据えた100万kW級の大型衛星では桁が何桁も違う出力になる。小規模な実証でデータを積み重ね、影響の有無と許容範囲を科学的に評価しておくことが重要だ。
送電に使うマイクロ波の周波数は、各国が使用目的別に厳格に管理している。宇宙から地上への高出力送電という新しい用途に対応したルール作りがまだ整備されていない。
JSS(宇宙システム開発利用推進機構)は「国連の電気通信標準化機関と各国が連携した議論が必要」としており、技術の実証と法制度の整備を並行して進めなければならない状況だ。
5. 🚀 2050年の大型衛星構想
JAXAは2050年頃に高度約3万6000キロメートルの静止軌道へ発電用の大型衛星を打ち上げる構想を持つ。
| 項目 | 仕様・目標 |
|---|---|
| 軌道 | 静止軌道(約36,000km) |
| パネルサイズ | 2.5km × 2.5km(2.5km四方) |
| 発電能力 | 100万kW(原発1基相当) |
| 建設費 | 約1兆2000億円 |
| 発電コスト目標 | 7〜10円/kWh(地上太陽光と同等) |
| 地上への電力供給割合 | 60%以上 |
2.5km四方という巨大な太陽光パネルを宇宙空間で組み立てるには、折りたたまれた構造物を展開する「宇宙建設技術」が必要になる。JAXAはその実証実験として、2025年10月に打ち上げた補給船「HTV-X1」を使い、折りたたんだ構造物を宇宙で広げる作業を予定している。
OHISAMAが使う低軌道(450km)では、衛星は地球を約90分で1周するため、一つの地点の上空を通過する時間は数分程度しかない。常時送電するには多数の衛星が必要になる。
一方、静止軌道(約36,000km)では衛星が地球の自転と同期して「空の同じ場所に止まって見える」ため、1基の衛星で24時間継続送電が可能になる。大型衛星の本番は静止軌道に置くのが前提だ。
電波工学的な補足: OHISAMAの450kmと2050年構想の36,000kmでは距離が約80倍になる。自由空間伝搬損失は距離の2乗に比例するため、損失は約6,400倍(約38dB増)になる計算だ。この巨大な損失を補うには、送電アンテナの巨大化・高効率化・受電エリアの大面積化を同時に実現しなければならない。OHISAMAで低軌道から始めるのは、まずこの全工程を小スケールで検証するためでもある。
6. 🌍 国際競争の現在地
2026年が分水嶺になる
宇宙太陽光発電をめぐる国際競争はここ数年で急速に熱を帯びている。
| 国・機関 | 動向・直近ステータス |
|---|---|
| 日本(JAXA/JSS) | 2025年度打ち上げ・2026年度に世界初地上受電実証(OHISAMA)。2024年には高度5km以上の航空機からの地上送電実験に成功 |
| 米国(カリフォルニア工科大学) | 2023年5月、MAPLE実験で衛星→地上へのマイクロ波送信に成功。ただし地上での電気取り出しは未達。8ヶ月間の軌道実証でデータ収集 |
| 米国(AFRL:空軍研究所) | SSPIDRプロジェクトとして「Arachne」飛行実験を2025年に予定。Northrop Grummanが開発した太陽電池「サンドイッチタイル」9枚を軌道上で太陽光→マイクロ波変換する実証 |
| 欧州(ESA SOLARIS) | 2024年8月にフィジビリティスタディ完了。2025年末までにSSPS開発に進むかどうかの判断を行う予定 |
| 英国(Space Solar CASSIOPEIA) | 英政府が120万ポンドを助成するCASSIOPEIAプロジェクト。約2GW連続供給が可能なヘリカルアレイ設計で、2024年2月に詳細エンジニアリング設計を完了 |
| 中国(西安電子科技大学) | 2022年に世界初のフルシステム地上試験施設(75mタワー)を完成。ロードマップ:2027〜28年LEO実証(10kW)→2030年GEO実証(MW級)→2040年初GW基地→2050年複数GW体制 |
注目すべきは中国のロードマップの具体性だ。2030年のGEO(静止軌道)実証、2050年の複数GWという数字は、日本の2050年構想と直接ぶつかる。
7. ⚠️ 打ち上げ手段の課題:カイロスロケット3連続失敗
OHISAMAの打ち上げはスペースワン(東京・港)が開発する小型ロケット「カイロス」を使用する計画だった。しかしこのロケットが2026年3月時点で3連続失敗という深刻な状況にある。
| 号機 | 日付 | 結果 |
|---|---|---|
| 1号機 | 2024年3月13日 | 発射5秒後に爆発(自律破壊システム作動) |
| 2号機 | 2024年12月18日 | 高度110kmまで到達するも軌道投入失敗(センサー誤信号によるスピン) |
| 3号機 | 2026年3月4日 | 発射約70秒で飛行中断措置 |
3号機の失敗により、日本の商用宇宙産業の商業性に疑問符が付いている状況だ。OHISAMAの打ち上げ手段が変更される可能性もあり、プロジェクトスケジュールへの影響は今後注視が必要だ。
カイロスロケットの3号機失敗(2026年3月)を受け、スペースワンは原因究明を進めている。JAXAのOHISAMAプロジェクトが当初の打ち上げ計画を維持するか、別の打ち上げ手段に切り替えるかについて、2026年4月時点では公式な変更発表はない。今後のJAXA・スペースワンのプレスリリースを注視したい。
8. 🌕 月探査への応用
宇宙から電気を送る技術は、月面探査のインフラにも直結する。
米国主導の「アルテミス計画」では月の南極付近に基地を建設する検討が進んでいる。しかし南極付近には太陽光が届きにくい場所も多く、発電が困難だ。月を周回する発電衛星から月面に電気を送れば、南極付近のロボット・探査車に安定電力を供給できる。また月の砂(レゴリス)に含まれる水を電気分解して水素・酸素(ロケット燃料)を生産することも可能になる。
JAXAの田中孝治准教授は「OHISAMAプロジェクトでは衛星の姿勢やマイクロ波の制御など、月で使える技術を実証できる」と話す。今回の実験は「地球への送電実証」であると同時に、月・深宇宙探査への技術的な布石でもある。
まとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 2026年の実証 | 150kg小型衛星・フェーズドアレイ・GaAsレクテナで世界初の地上電気取り出しを目指す |
| 「世界初」の根拠 | Caltech(2023)は宇宙内LEDの点灯・地上への送信検出には成功。しかし地上レクテナによる実用的電力取り出しは未達。OHISAMAはその先を行く |
| 2050年の構想 | 静止軌道の2.5km四方大型衛星で100万kW(原発1基相当)を送電。コスト目標7〜10円/kWh |
| 国際競争 | 米AFRL(2025軌道実験)・ESA(2025判断)・中国(2027LEO実証・2050複数GW)・英国(CASSIOPEIA)が並走 |
| リスク | 打ち上げ予定のカイロスロケットが3連続失敗。打ち上げ手段の見直しの可能性 |
| 月探査との関係 | アルテミス計画の月面電力インフラへの応用可能性 |
OHISAMAのような宇宙送電システムは、大規模なエネルギー問題であると同時に「制御システム」の極限への挑戦でもある。高度450kmで姿勢制御しながら地上のピンポイントにマイクロ波を指向し続ける技術は、フィードバック制御・通信・信号処理が一体になった総合システムだ。
フェーズドアレイアンテナの各素子をリアルタイムで位相制御する技術は、5G基地局・気象レーダー・自動車用ミリ波レーダーと根を同じくする。宇宙空間という環境の過酷さと要求精度の高さが、地上応用の数桁上のエンジニアリング問題として現れる。
さらに、受電側のレクテナで宇宙からの微弱なマイクロ波をいかに低損失で整流し、安定した直流電圧に変換するか——このDC/RF変換効率の向上と熱設計のトレードオフは、まさにパワーマネジメントIC(PMIC)設計の問題そのものだ。「宇宙からの電力」が「組み込みの電源回路」と地続きになっている点が、このプロジェクトの密かな面白さだと思っている。
宇宙開発は「エンジニアリングの総力戦」であり、電子・組み込み・通信・制御・構造……すべての技術分野が交差する場所だ。
よくある質問(FAQ)
Q. カリフォルニア工科大学の実験とOHISAMAの違いは?
カリフォルニア工科大学のMAPLE実験(2023年5月)は、衛星から地上の屋上へのマイクロ波送信と、宇宙空間内でのレクテナによるLED点灯に成功した。しかし地上の受信機で実用的な電力として取り出すことには至っていない。OHISAMAはGaAsレクテナを使って「地上で受信したマイクロ波から電気を取り出す」——この世界初の達成を目指している。宇宙内での実証から「地上への電力提供」という本来の目的まで踏み込む点が違いだ。
Q. 受電した電気を実際に「使える電力」として取り出せるの?
今回の実証では最大720W〜1kWの衛星から高度450kmを経由して送電するため、地上に届く電力は非常に小さい。研究チームも送電効率は低いと認めている。長野県・臼田宇宙空間観測所の大型アンテナでLEDを点灯させることを目指しているが、これは「受電して電気を取り出せることの実証」が目的であり、実用的な電力供給とはまったく規模が異なる。
Q. マイクロ波は人体や生物に危険ではないの?
マイクロ波の人体影響は強度依存だ。宇宙太陽光発電の受信エリアで想定される強度は太陽光(約1000W/m²)以下に設計することを基本方針としている。ただし実際の運用では受信エリア内の人・航空機・生態系への影響評価が必須であり、OHISAMAでもその基礎データ収集が目的の一つだ。
Q. カイロスロケット3連続失敗で計画は遅れる?
2026年4月時点では、JAXAからOHISAMAの打ち上げ手段変更に関する公式発表はない。ただし3連続失敗という状況は重大であり、別の打ち上げ手段(H-IIAやH3、あるいは海外ロケット)への変更が検討される可能性がある。今後の発表を注視する必要がある。
Q. 2050年の1兆2000億円という建設費は現実的?
SpaceXのStarshipが低軌道への輸送コストを大幅に引き下げつつある点を考慮すれば、打ち上げコストがさらに下がれば建設費も変わる。一方で「2.5km四方のパネルを宇宙で組み立てる」というミッションそのものの難易度は輸送費とは別の課題であり、楽観的な試算には注意が必要だ。
関連記事
- アルテミスIIが帰還——月探査と宇宙エネルギーの交点:OHISAMAの技術は月面への電力供給インフラとして直接応用される。アルテミス計画との関係を理解するための必読記事。
- フィルム型次世代太陽電池(カルコパイライト)の実証実験:地上の薄膜太陽電池技術は宇宙用軽量パネルとも技術的に重なる。軽量・高効率という方向性は宇宙太陽光発電とも共通だ。
参考
- 宇宙太陽光発電システム(SSPS)研究(JAXA)
- 宇宙で作った電気を地上へ、JAXAが26年度にも送電実験(日本経済新聞)
- 金沢工業大学:宇宙太陽光発電システム用レクテナ評価実験
- In a First, Caltech’s Space Solar Power Demonstrator Wirelessly Transmits Power in Space(Caltech)
- ESA SOLARIS – Space-Based Solar Power(ESA)
- Space Power Beaming – SSPIDR(AFRL)
- CASSIOPEIA concept(Space Solar UK)
- Japan’s private Space One Kairos rocket fails for 3rd time(Space.com)