ついに「予約注文」が現実味を帯びてきた

2026年1月、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)。これまで同会議に批判的だったイーロン・マスク氏が初めて公式セッションに登壇し、世界を震撼させる発表を行いました。

その中心にあるのは、テスラが開発を進める人型ロボット 「Optimus(オプティマス)」 です。これまで「開発中のプロトタイプ」という印象が強かったOptimusですが、マスク氏はついに 「2027年末までに一般販売を開始する」 と明言しました。

私たちがネットで当たり前のようにロボットをポチる日が、すぐそこまで来ています。

Optimusロボットの実機 テスラの人型ロボット「Optimus」。2027年末には一般家庭での利用が現実に


2027年までのロードマップ:産業から家庭へ

マスク氏が示したスケジュールは、非常に具体的かつ野心的です。

  • 2026年(今年): すでに自社工場で簡単な作業をこなしているOptimusですが、年内にはより複雑な産業用タスクを担うようになります。
  • 2027年末: 高い安全性と信頼性を確保し、ついに一般消費者向けの販売が開始される予定です。

期待される用途は、高齢者の介護から子供の見守り、ペットの世話、家事代行まで多岐にわたります。価格帯についても、将来的には「車よりも安くなる」可能性が示唆されており、経済に「前例のない爆発的成長」をもたらすと予測されています。


技術の核:AGIの進化と「電力」の壁

なぜ、これほどまでに急激な進化が可能なのでしょうか? マスク氏はその背景に AGI(汎用人工知能) の爆発的な進化を挙げています。

1. 人間を超える知能の誕生

マスク氏は、早ければ 2026年末、あるいは遅くとも2027年までには、単体の人間よりも賢いAIが登場する と予測しています。 さらに2030年頃には、全人類の集合知を上回るAIが誕生するとまで述べています。

2. 次なるボトルネックは「電力」

しかし、課題がないわけではありません。マスク氏は、今後のAI普及を妨げる最大の要因は計算資源(チップ)ではなく 「電力供給」 になると指摘しています。 高度な推論を行うロボットが数億台、数十億台と増えれば、既存のインフラでは追いつきません。これを受け、テスラとSpaceXは年間100ギガワット規模の太陽光発電能力の構築も視野に入れています。


組み込み技術者の視点:これは「究極のハードウェア」への挑戦だ

このニュースを聞いて、単に「すごいな」で済ませられない衝撃を、多くの組み込みエンジニアが感じているはずです。私自身、指先に震えるような昂ぶりを覚えています。

1. 「リアルタイム性」の極致

私たちが普段、数ミリ秒の遅延(レイテンシ)と戦いながらモーターを回したり、センサー値をフィルタリングしたりしている、その「地続き」の先にOptimusがいます。数万の変数をミリ秒オーダーで処理し、重力に抗って二足歩行を実現する。それが2027年に「製品」として世に出るということは、組み込みOSやミドルウェアの次元が一段階引き上げられることを意味します。

2. 「ソフトウェアPWM」のその先へ

以前の記事で「Software PWMでLEDを呼吸させる」という話をしましたが、Optimusのアクチュエータ制御も、本質的には同じ「電気をいかに緻密に操るか」という技術の集大成です。私たちがブレッドボードで試行錯誤しているパルスの一つ一つが、やがて巨大なロボットの指先の繊細な動きに繋がっていく。そう思うと、手元のマイコン一つにも、とてつもないロマンを感じずにはいられません。


2040年、ロボットは100億台になる

マスク氏の予言はさらに加速します。「将来的にロボットの数が人類の人口を上回る可能性がある」 というのです。2030年前後にはその予兆が現れ、2040年頃には地球上に100億台規模のロボットが稼働している世界を描いています。 ロボットと共存する未来社会 2040年、人口を超える数のロボットが稼働する未来予想図

それは、労働が「選択」になり、物資が飽和する「豊かさの時代」への突入を意味しています。


結びに代えて:ワクワクが止まらない。私たちは「魔法」を作っている

正直に言えば、怖さもあります。人間を超える知能、街中に溢れるロボット。でも、それ以上に 「自分が生きている間に、これほどのパラダイムシフトを目撃できる」 という幸運に、心からのワクワクが止まりません。

マスク氏は「電力供給」がボトルネックになると言いました。ならば、私たち技術者の出番です。より効率的なコードを書き、1ミリワットでも消費電力を削り、より賢いアルゴリズムを実装する。その積み重ねが、SF映画で見たあの世界を実現する鍵になります。

2027年、Optimusが発売されるその日。私たちはそれを単なる「便利な家電」として眺めるのではなく、「中身はどう制御されているんだ?」「自分ならこう実装する」と、熱い議論を交わしているはずです。

さあ、未来を実装しましょう。まずは、今日書くその一行のコードから。


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